木曜日, 9月 07, 2006

はじめに

2003 年よりフライ・フィッシングをアメリカ合衆国のワシントン州で始めました。 実は魚釣りは口実でした。 ワシントン州の美しい渓流の景観と澄んだ水の流れる音に暫しの間佇んでいると、時間を忘れとてもやすらぐことができたのですが、ただ「ボー」と長い間立っていると不審に見られはしないかと思い、更には不精な自分にとって魚釣りに出かけるということが未だ訪れたことのない色々な地に足を運ぶよい動機付けになるだろうと考えたのがきっかけで、家の近くの釣具店が偶然 Kauffman's Streamborn だったのでフライ・フィッシングを始めることになりました。 その年は Snoqualmie と Skykomish の 2 つの川の支流にて静かな一時を夏から秋にかけて毎週末透きとおった清流の流れる自然の中にたたずんでいることを単純に楽しんでいました。 その年の晩夏に North Fork Skykomish 川に美しい所を見つけました。山深く入った周りの木々の緑と突き抜けるような青空、背景の山を横切る綿菓子のような白い雲、更にとても澄んだエメラルド・グリーンの深い水の流れとそこへ落ち込む小さな滝からの清涼感、心洗われる気持ちよさを毎週のように味わいに出掛けていました。恐らくフライ・ボックスにはアダムスとストーン・フライの 2 つのパターン程度しか入っていなかったと思います。その場所のことを Kauffman's Streamborn で話したところ、「これをその落ち込みへ投げてごらん」といってオレンジ・スティミュレーターを渡してくれました。次回出かけた時、言われたように小さな滝からの落ち込みの近くへオレンジ・スティミュレーターをキャストすることを試みました。3 投目だったと思います。落ち込みの直ぐ近く、狙った所へ上手くオレンジ・スティミュレーターが静かに着水し、二呼吸くらい自己満足を味わっていたときに水飛沫とともにオレンジ・スティミュレーターが水面より消えたのに合わせ反射的に竿を上げたところ、しっかりとした手ごたえが竿を通じて伝わってきました。暫し魚とのコネクションを楽しんだ後に寄ってきたのは、たしか 30cm 弱のとても綺麗なレインボー・トラウトでした。それが私にとってフライ・フィッシングで初めて釣れた魚でした。今でも周りの景色とレインボー・トラウトの色鮮やかなコントラスト、躍動感にあふれた魚体、それらがもたらしたセンセーションは強く記憶に焼きついています。それ以来、周囲の美しい景色と一体感を味わい日常を忘れることへ、その美しい河川の景色のどこかに埋もれ隠れている宝探しの楽しみが加わりました。 その後も同じ場所を訪れオレンジ・スティミュレーターを投げて魚の掛かることはありませんでしたが、ある時背後で物音がするので振り向いてみると一人のフィッシャーマンが銀色の大きな魚をぶら下げ自慢げに立っていました。そのときは「あんな大きな魚がこんな川の上流にいるんだ」という驚き程度しか思い至りませんでしたが、今思えばスティール・ヘッドだったということが分かります。それからです、そのような魚を求めて North Fork Skykomish 川とその支流から探索を始めました。そして秋の訪れを感じ始めた頃、小さな支流の一つで 50cm オーバーのサーモン 3 尾が傷ついた体で浅瀬を上っていくのを見て感動し、釣るという気持ちの色あせたのを覚えています。 そういう意味では、魚を釣ることよりは、むしろ感動を捜し求めているのだと思います。幸運にもワシントン州の豊かな自然は感動の種を見つけるのに事欠かないので、ますますフライ・フィッシングに心が傾いてきているところです。

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