月曜日, 11月 19, 2007

Thompson river でフライ・フィッシング: 心の爆発する瞬間、心の萎む瞬間(動画有り)

今年 2 回目のトンプソン河への釣行記です。 水位: 約 2.05 m。 水温: 約 8.8 ℃ 天候: 曇時々晴れ

  • 先ず最初にご参考にですが、トンプソン河でのスティールヘッディングは下火になってきているようです。 18 日(日)と 19 日(月)と再びトンプソン河へ出掛け、そこで出会ったスティールヘッド協会からと思われる調査員の方との話や、他のフライ・フィッシャー達からの口コミによるとスローな状態だそうです。 11 月中盤も過ぎたことから冬モードに変わるところで当たりが無くなってきているのでしょうか。 それでも個人的にはスティールらしきテイクがあったのと満点の星空を千鳥足で堪能できたので非常に満足のいく釣行でした。
  • 性懲りもなくトンプソン再び
    今月 4 日から 2 日間トンプソン河へ出掛けた前回に集まった情報から、今年のスティールヘッディングの調子は昨年より良さそうな感触だったので、いつも以上に膨らみがちな期待にボウズの冷や水の味を散々覚えいてる理性がブレーキをかけるいい感じの淡々さで、性懲りもなく再びトンプソンへ足を向けました。 Yasu さんと合流後トンプソンへの道中で、前回は昨年程にサーモンを見なかったことから今年はサーモンの遡上数が少なく、テリトリー争いによってスティールヘッドが流芯に近いような場所に追いやられることがないから、比較的水位が高い今年でも好調な当たりが皆にあったのではないかとか、もうぼちぼちトンプソンは冬モードに入るから今回はどうだろうとか、朝夕のスティーリーが鱒モードになりやすい時間はどこのランを攻めようかというような釣り談義を交わしながらトンプソン入りしました。 実は今回は見慣れた Lani Waller 氏のスキーナ河でのスティールヘッディング・ビデオでイメージ・トレーニングを前夜にしてトンプソン入りしました。
  • トンプソンでの気持ちよい出会い
    今回はトンプソン用の Classified Waters ライセンスを Big Horn Holdings で購入し、そこからすぐ近くにオーチャード・ランがあり、Arthur J. Lingren 氏が「トンプソン河・ジャーナル」の中で水位が 1.9m ~ 2.0m で薦めていることと先客も無かったのでタイミングよく竿をおろすことにしました。あまり投げる必要が無いので前回竿おろししたばかりの TFO で岸寄りを攻めることに。下のビデオがオーチャード・ランです。あなたならトンプソンのオーチャード・ランをどう攻めますか?
    今頃から冬モードに入ることを予想し試してみようと思っていたことがありました。キャストしたときにラインを全て投げてしまうのではなく、手元にラインのループを残しておき、キャスト直後にメンディングでラインを手元のループより送ってやるのと同時に下流にポジションを移動することでフライを沈めることです。それにスペイでのリーチ・キャストの練習も課題です。 そんなことをしていると忙しいのと、なかなか思うようにいかず、手元のラインのループが背中のデイパックに絡まったり、底に根掛かりしたり、キャストでフライがターンしなかったりとフラストレーションが溜まってきたところ、ふと下流の丘の上でポイントの確認をしているようにも私の惨澹たる姿を哀れんでいるようにもとれる感じで、こちらを見ているスペイ竿を持ったフライ・フィッシャーマンが小さく見えるのに気づきました。 気にせず暫く同様に四苦八苦しながら試行して釣り続けていると、先程のフライ・フィッシャーマンが脇の岸を通り過ぎて行きます。近くで見ると 70 歳に近いと思われる初老の小ぶりの男性で、スニーカーにスエットの軽い足並みでした。しかもどこかで見たような顔つき。何となく「トンプソン河・ジャーナル」の著者である Arthur J. Lingren 氏の面影があるような。 その暫く後に Yasu さんからポイントを移動しようかという無線が入ったので了解の返答をしておいて、直ぐに先程の気になる初老のフライ・フィッシャーマンの所へ向かい上流に歩を進めました。近づいてみると記憶にある Arthur 氏の若い頃の写真とは少し趣が異なるようです。今考えると Arthur 氏がそれほどお年を召している筈のないことが分かるので、Arthur 氏かどうか尋ねて変な恥を掻かずに済みよかったと思います。それでも興味があったので二言三言世間話してみたところ、5 時間ほど車を運転し今着いたところで、これからスニーカー着用のままフライ 2 ~ 3 個を無駄にすること覚悟で岸からスペイで釣り下るつもりとのことでした。 思わず、スペイ・キャスティング教材ビデオの「Spey Casting Secrets」の中で確かジョージ クック氏だったと思いますがスナップ T が生み出される逸話を話しているところで、デック ホーガン氏がナイキのエアー・ジョーダン・シリーズのスニーカーにジーンズで現れ、クック氏より竿を借りて河原からスナップ T のキャストとしての有効性を試すのにブン投げ、しかもいとも簡単にキング・サーモンを釣り上げた話がされており、しかもそれが当時のスペイ・キャスターのユニフォームだったということも言っていたことを思い出しました。 お会いした男性の竿とリールは比較的新しいように見えましたが、しっかりダブルハンドのグリップ部には使い込んでいる手垢のあとがしっかりと確認できました。ウェーダーも着けず、一人で冬のトンプソンで超ド級のスティールヘッディングですか。ご老体、お若いですなぁ。肩の力の抜け方がまたまたよろしいようで。もっと会話を楽しみたいのですが Yasu さんが待っているので失礼しますということで、残念にもご闊達なご老体の一振りも見ることもなく最初のポイントを後にしました。
  • トンプソンの Juju factor
    実は前回のトンプソンへの釣行の際、轟木さんと根岸さんにトンプソンで釣れる為に縁起を担いでいつも何か行うことはありますかと最高機密(笑)について尋ねたところ、特に無いけれど "釣れ犬" を見ることができると掛かるよと教えてもらっていました。 もし興味のある方がいらっしゃった場合(笑)の "釣れ犬" の説明ですが、犬としてはややポッチャリ目で白い体に大きな黒の少なめの斑が目印で、スペンセス橋の 1 号線側で時々見受けられます。ただ近くに白黒斑ながらよく吠える似非の犬もいるので勘違いしないようにご注意ください。
  • 釣れ犬に励まされるヒョンな二人
    今回初日に入った最近前評判が良い最初のポイントにて何の手応えも感じなかったことから、Yasu さんと二人でいつものボウズ・パターンかと意気消沈気味に車で次のポイントをどこにするか巡っていたところ、噂の釣れ犬が主人に嗅ぎつけた獲物への方向を鼻先で示すポインター犬のように東北を向いているのに偶然出くわしました。 その釣れ犬に誘導されるように Y ランへ向かい幸運にも先客が無かったことから竿をおろすことにしました。ランを上流と下流に分け、私は下流でフローティング・ラインに白のステッツ・ボムバーのドライ・フライで水面を滑らせることにしました。 ステッツ・ボムバー・ドライ・フライ 自分で気持ちよく投げられる飛距離を 4 ~ 5 投もキャストした頃、1/3 もスィングしないところで何かがボムバー目掛けて出ました。同じ場所で 2 投キャストを繰り返すも再びライズすることはなく、中州まで釣り下ったところで Yasu さんと場所の交換です。辺りが薄暗くなり始めた日暮れ、Yasu さんから何か当たりがあったという無線が入りました。しかし日もとっぷり暮れてきたので納竿です。後で Yasu さんから聞いたところ当たりがありラインが引き込まれたかと思うと上流に泳いで行ったところで針が外れてしまったようです、またスティールとは違うかもしれないということでした。 ただ魚のアクションがあると俄然ムードが今までと変わり、明日に繋げる希望がフツフツと沸いてきて釣りの楽しみ度合いが全く違うものになります。
  • 酒と、寒空の星々と、トンプソン河に消える貨物列車の警笛に、朴訥なスティールヘッダーの笑顔からなる一夜景
    初日の寒天な夜は、いつものようにアケーシア グローブのキャビンへ逃げ込み Yasu さんが経営するお寿司屋さんからの熱燗と刺身にご飯で体の芯から日本人であることの悦びに浸ることで温まった後、この時期スティールヘッダーの社交場となっているログ キャビン パブへフラフラと出掛けて行きました。雲一つ無い夜空のため、放射冷却で道端に見られる水溜りが小さなアイス・リンクと化している底冷えのする夜道を、ログ キャビンの暖かそうなオープンのネオン・サインに催眠術でもかけられたかのように誘導された後、貴重な宝を守るように重厚な 2 重の扉を開くと辺鄙なスペンセス橋にいることを忘れるほどオープン・スペースでアメリカの正統派のパブが目の前に開けます。日柄朴訥に黙々と竿を振っているスティールヘッダー達、特にトンプソンで幸運の女神の微笑みに恵まれた者にとってはリカーで緩んだ口から熱く煮込んだ言葉で思い出話を滑らせ笑い声を響かせるには絶好の場所です。 もしトンプソンをスティールヘディングの季節に訪れた際は一度足を運んで冷えた体を温めて下さい。 ログ キャビン パブからの帰り道は久しぶりに千鳥足で夜空に輝きわたる満天の星空をフライフィッシング仲間である Yasu さんと見上げながら宿に戻りました。
  • 冬モードの忍耐スティールヘッディング・ゾーンへ
    翌朝の冷え込みは前回からは想像しなかったものでした。前日の感触と釣れ犬が指し示した方向といい(笑) から、いつもの朝の時間に Y に向かいました。ポピュラーな Y に他のフライフィッシャーマンに先駆け朝一で陣取れたことをラッキーに感じるのと裏腹に今一つそれが合点のいかない変な心情が、河原まで出でて竿を振る頃には解決がつきました。手のかじかみだけでは収まらず、リールが凍って固まり、竿の各ライン・ガイドには氷の結晶が張り、ラインも所々氷で硬くなるし、河の水の方が温度が高いためにトンプソンの川面から靄が上がり、惨めなことには性質の悪い風まで吹いている始末。前日の様子とは大違い。通りで他のフライフィッシャーマンがいない筈です。あまり釣れる気はしないものの、そこはそもそもスティールの遡上数が非常に少ないトンプソンまで来るスティールヘッダーの端くれの悲しいサガで、諦め切れない一抹の期待で一投また一投、更には仲間の Yasu さんが同様に諦め悪く竿を振っていることが続けることへの疑念を覆い隠し、また一投一投、悪循環へ導きます(笑)。 しかし、これも今思えばとてもよい思い出となりました。 ロック・ランからのトンプソンの一景 生憎と持ち込んだトランシーバーの電源を前夜に切ることを忘れてトランシーバーが使えなくなったことから、Y ランで離れ離れになり見失った Yasu さんと連絡が取れず、私は駐車した車から見渡すことの出来るロック・ランまで一先ず戻って竿を振りながら Yasu さんを待つことにしました。
  • 心の爆発する瞬間、心の萎む瞬間
    結局、何の生命反応もラインの先に感じられないまま車に戻って昼食を採った後、Yasu さんの提案であまり人の行かないようなポイントを浚ってみることに。偶然にもそれが釣れ犬の指し示した方向のポイントだったことは二人とも後で気づきました(笑)。 少しの間のハイキングの途中で私が選んだ次のポイントは、トンプソンへ出掛ける前夜に Lani Waller 氏のスティールヘッディング・ビデオでイメージした速い流れと遅い流れの狭間を攻める正しくそのパターン通りの場所でした。本流の部分が非常に速く、岸の直ぐ近くに淀んだゆっくりとした流れがあり、攻めるべき部分がはっきりとした分かりやすいポイントで、もし魚がいたならば明らかにテリトリー争いの結果で大物が居つきそうな雰囲気です。しかも攻めるのにあまり時間も掛かりそうにもありません。 スケールの大きなトンプソン河では、通いつめたベテランでないとスティールがどこにいるのか見当がつかず淡々とスウィングする釣りが通常なので、魚の気配を感じて、トンプソンではとても珍しく心臓の鼓動が早まるほど興奮している自分がいるのが分かりました。 ジェネラル・プラクティショナー・フライ サイズ 0 の黒のジェネラル・プラクティショナーをタイプ 6 と同じシンキング・レートの 10 フィートのポリーリーダーをフローティング・ラインの先につけた愛竿のレディントンで本流の方に投げ込み、綺麗に流暢に本流から淀みのゆったりとした流れの中へスウィングするよう岸側へのメンディングを繰り返しフライをリードすることを繰り返し、2 歩ずつ下流に移動しながらだんだんコツが掴めてきた頃、自分でも 100 点満点をあげられるとてもいい感じでフライが流れているなと高揚した気分でいるとき、ラインの反対側を誰かが引っ張り込むように勢いよく手元のラインのループ全てがあっという間に竿のライン・ガイドと擦れる独特の音を立てながら出て行きます。「来た!」と思わず心が爆発し、ラインのループ全てが出終わった頃、岸側に竿を寝かせながら合わせ! フッキングの感触、パーフェクト! 魚とのコネクションの重み、デ、デカイ! そして竿がグイと河へ引き込まれたかと思うと突然魚とのコネクションが無くなり、今までピンと張っていたラインが水面に垂れ下がります。「あれ? あー、あーぁ。」ラインを手繰り寄せてみると GP (ジェネラル・プラクティショナー) は消えていました。リオ の 15 lb(6.8Kg) テストの 0X ティペットがフライのところで切れていました。心臓の鼓動はまだ早く興奮冷めやらない状態でしたが心は萎んで行くのが分かります。 1 尾いればまだ他にもいると気を立て直し、それから淀みの終わり近くまで流したところで日暮れ近くなり、当たりもなく終了となりました。 残念ですが、まだシーズン最終日まで日にちがあるので仕切り直して出掛けようと思います。それにしても釣れ犬のパワーは凄い(笑)。
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