火曜日, 11月 27, 2007

Thompson river でフライフィッシング: 彼方僻地の社交場へ再び(動画有り)

先週のバイトのセンセーションは寒さの記憶を上回り、今週もやはりトンプソンで河に立ちに出かけることとなりました。 水位: 約1.8m 水温: 約7.5℃ 天候: 晴れ後曇り 目次

  1. 行きはよいよい、帰りは...
  2. 冬装束の忍者、トンプソンに現る
  3. 爺的素行パターンの釣り
  4. 恵比寿様からのトンプソン・スティールヘッディングのご指導とサンタクロースに聞くフライフィッシングのお伽噺
  5. トラウトに人生を豊かにすることについて教わる
  6. 一筋縄でいかないトンプソン釣行
本文
  • 行きはよいよい、帰りは...
    眠気覚ましにハイウェイの休憩所でフリーのコヒーを調達しラジオでアメリカン・カントリーを鳴らしながら Yasu さんとの合流点まで運転していると、日曜の早朝(5AM出)にも関わらずいつもより多い車に気づきます。「皆さんトンプソンへ出かけるのかな」などと素っ頓狂な思いが頭を掠めた後、日曜が感謝祭の週の最後の日なので、気の早いリターン組みか、各地で催されるホリデー・シーズン・セールの特価品狙いの(超クレージーな)ホリデー・ショッパーの車であることに気がつきました。同情心が沸き、「皆様、特に男性諸氏、この時期ご苦労様です」と思わずスピーカで叫びたく...なったりはしませんね。 そんなこんなで私の居所から約 5 時間半の道程 (帰りがこれがとんでもないことに) の後、Big Horn Holdings で前回同様にライセンスを購入してトンプソン入りを果たしました(誰か法螺貝でも吹いてくれるととてもやる気になって嬉しいのですが)。しかし、ボウウィンクル(Big Horn Holdings の犬)は見る度に何か言いたそうにこちらを見つめている気がしてなりません。
  • 冬装束の忍者、トンプソンに現る
    トンプソン入りして下のポイントから先客の状況(侵略状況と言う人もちらほら)を確認しながら車を走らせ、Y ランが空いていないかなぁと期待していると、なんと空いているではないですか。早速に車から降りて体を解していると、Y から上がってくる日本人男性の人影が見えます。ワタナベさんという先生をされている御仁でマット鈴木さんのお連れの方とのこと、そこへマットさんも車でお迎えに現れました。廉価をモットーに行き当たりばったりで物を揃えている私とは異なり皆さん何かスタイルがあって格好いいんですよね。マットさんからスローだよと情報を貰っている所へ、スティールヘッド協会の男性も調査に現れ、駄目押しの「皆調子悪いようだよ、スローだよ」とのコメントを頂きました。うーん、Y ランが空いていて来た早々に日本人の方とお会いするよい機縁のように感じていたのに。 話によると下流から新しいスティールの遡上グループによる補填が今年は遅れているのか非常に少ないようです。 前回、慣れているレディントンのレッドフライではなく TFO から振り始めたせいか、どうも最後まで竿とのリズムが合いませんでした。先調子のレディントンで竿の感覚を掴むと、それより柔らか目の TFO で感覚を掴むのは非常に容易なのですが、その反対の場合はどうも今一つで、考え出すとキャストの流れがバラバラになってしまい取り止めがなくなるので、どうもうまくありません。どんな竿でどんなラインの組み合わせでもある程度普通に気持ちよく投げられるようでありたいので、かえって練習になるのかも知れませんが、5 時間半もかけて来るトンプソンではそうも言っていられず釣りに専念できるようにしたいのが心情です。 冬装束の忍者を思わせるスティールヘッダーがY ランに向かう ということで、使い慣れたレディントンのレッドフライをとっとと持ち出し、準備万端で Y ランの河原へ、Yasu さんがまるで忍者を髣髴させるような冬の嗜みの格好で歩いている先にはやはり河原の水溜りが白く氷結しています。
  • 爺的素行パターンの釣り
    実は水温が低くなったときに Y ランのある所へスティールが居つくという情報があっての Y 入り希望でした。ただ Y では(私にとっては)遠投しなければならないのですが、釣人の隅にも置けないほど朝がすっかり苦手になってしまった現在の私にとって、特にトンプソン入りするときはいつも一睡もしない状態で出かけてくるので、朝の遠投は調子が出ないばかりか、スティーリーの活性化する温度幅の下限かそれ以下の水温なので底近くの水深域を探ろうとしたために根掛りを頻繁に起こし、どうもリズムに乗れません。 河原に氷の張るトンプソンの冬の Y ラン そんなこんなで、どうも調子が上がらず頭から立つ湯気をロッドのガイドやラインに薄っすらと氷が現れる程の寒さが沈静化してくれ、ようやく波に乗り始めた頃、Yasu さんから「ここは日が当たらなくて寒いから、日の照っているステーションへ移りましょう」という声が無線に入りました。「あんさん、そんな爺くさいこと...大賛成です。スティーリー達もきっと暖かい所に屯って居るに違いありません」ということで、二人して底冷えのする日陰の暗い Y ランから日のあたり明るいステーションへスタコラサッサ。「ス、ス、スティール来い、ステーションの水は温かいぞ」と(笑)。 移動の際、前回紹介したトンプソンの釣れ犬様のお宅の前を車で通ったところ、飼い主と思われる男性とガレージに居るところを発見、思わず運転している Yasu さんへ、「バック、バック、釣れ犬様が居た」と叫び、急遽車をバックさせ、しっかりジュージュー・ファクターの釣れ犬様を、飼い主の男性が何事かと目を丸くさせる中、やや強引に拝観 (笑)。ただ今回は、あたかも「こちっへ行け」と指し示していたかに見えた前回と異なり、釣れ犬様がリラックスされているところをこちらの身勝手で拝見したような面があるので、Yasu さんと二人で御利益はあるのだろうかと疑問が頭をたれました(笑)。 ステーションでは、日が当たりポカポカ陽気です。Y ランとでは極楽と地獄ほどの違いがありました。結局、Yasu さんと二人共々、そのぬくぬくとした心地よさを離れられず、その日の終わりまでステーションでフライを流しました。ただ、やはりトンプソンには精悍な奴の他に爺くさいスティールはいないようです(笑)。下のビデオはトンプソンのステーション・ランです。
  • 恵比寿様からのトンプソン・スティールヘッディングのご指導とサンタクロースに聞くフライフィッシングのお伽噺
    釣りから上がってはいつも通り、先ずは宿舎であるアケーシア・グローブ・キャビンに入ってエナジー・チャージです。熱燗で舌をぬめらし、Yasu さん提供の脂の乗った海の幸で舌鼓、更には炊き立てのご飯にレトルトの辛口カレーで舌に火をつけ、Yasu さんのお知り合いのカズさんも加わってトンプソンのスティール談義で舌戦と、口から徐々にヒート・アップさせて暖を取ります。カズさんはトンプソンで驚異的なスティーリーのフック率を誇る御仁とのことで、お魚屋さんということもあってか風貌から何となく恵比寿様を連想してしまいます。お話しするとやはり私のような安直な考えの者が行う釣りとは少し異なる釣り方をされているようで、とても参考になりました。 口元の緩みが全身に及んだ後はスティールヘッダーの社交場のログ・キャビン・パブへ、Yasu さんと二人でポケットに手を突っ込み背中を丸くしながら、満月の月明かりに浮かぶ夜道をテクテクと千鳥足で向かいました。途中で、いきなり左手から一匹の犬が吠えながら勢いよく走ってきて、月明かりにモノトーン調に浮かんだ犬を見ると白黒斑だったので一瞬釣れ犬様が気でもふれたのかと目を凝らすと似非釣れ犬でした。頭を下げ歯を剥きながら唸ったり吠えたりしながら、今にも噛み付く機会を探るように足元の周りを行ったり来たり。周囲の番をしてくれてありがとうと気にせず無視して歩いて行ったのですが、今思うとトンプソンからの帰りの難儀は何か似非釣れ犬の怒りに触れたタタリだったのかもしれません(笑)。 貴重な宝を守るように 2 重になった重い扉を開くと現れるフライフィッシャーの社交場で今回出会えたのは片腕のジョーさんでした。彼はトンプソンのスティールヘッダーの間ではかなり有名な人物らしいのですが、河と魚の大きさが他と異なるトンプソンで片腕でのキャストや取り込みをしてのける彼の釣りに対する情熱だけが彼を有名にしたのでなく、その人柄も手伝っているように思われます。彼の外見と人柄は何となくどこからか知っているかのような人一倍の親しみや温かさを感じるもので、本当はサンタクロースで、来月に向けエネルギー・チャージを兼ねたバケーションでトンプソンのスティールヘッディングに来ているのではないかと思わせます。私はログ・キャビン・パブに入店する前から既にできあがっていたので、ジョーさんが目をキラキラ輝かせながら一生懸命に色々なフライフィッシャーにとってはお伽噺のようなことを話してくれたにも関わらず、恥ずかしいながら朧にしか覚えていないのが残念です。薄れ行く記憶では、ジョーさんは 70 年代よりトンプソンで釣りをしていて、しばらくは餌釣りをしていたのだけれど好調な日は 15 尾も釣れるようで厭きがきたのでフライ・フィッシングを試したところ、その年はシーズンで 1 尾のみ、翌年は 4 尾と釣れないのが面白くはまってしまったとのこと。うーん、やはりスティールヘッディングにはフライは効率が非常に悪いのではと悔しい経験をしてきている者にとっては古傷をなぶられるようなお言葉。(餌釣りのときは、スティールヘッドがどこに居着くのか知っているので完全にピン・ポイントで攻め、一つの釣り場に 5 分とかけなかったそうです。) でも、やはりジョーさんも釣れない釣りがいいんですね(笑)。 グランデ・ロンデ・リバー・ラット・フライ トンプソンの他の話として、あるときマレィー・クリークで色々フライを試した挙句にあるフライ(左のグランデ・ロンデ・リバー・ラット・フライに似ていましたが、それ程色鮮やかでなく、頭のハクルが無く、テールのハクルもずっと小さかったと記憶しています)を使ったら立て続けに 5 尾以上も釣り上げたことがあり、そのフライを他のランでも流してみたけど全然反応がないことがあったということを懐かしく嬉しそうに話してくれたので、是非そのフライを拝見したいとねだったおかげで首尾よくトンプソンのサンタクロースさんのフライブックの中の秘宝を堪能することができました。そこには丹精込められたフライが 15 個ほどバラエティーに富んで並んでいました。繊細な完璧主義と芸術家肌に精力ある創造が個々のフライ上に素材・形・色・サイズと多次元にバランスされており、ジュエリー・デザイナーにでもなったほうがよかったのではないかと思わせるようなジョーさんの人柄の他の一面を垣間見るようでした。 他にもキンコリス河でリアカーを 2 日間引っ張って釣りをして 53 lbs! (24kg) のキング・サーモンを釣り上げたことや、ケェラム河では 93 lbs!!! (42kg) のキングを釣り上げた話を聞いたことなどを熱心に話してくれ、それらの河を訪れるのに良い日にちも教えてくれました。 私にとってフライフィッシングの大きな魅力の一つは瞳の澄んだ人々と出会えることです。開高健氏も濁り淀んだ目と澄んだ目ということを幾つかの著作の中で述べておられますが、しみじみ(あくまでも自分なりにですが)その意味が分かるような歳になってきました。目の澄んだ人に正視されるとつい目線を逸らしてしまう自分がいて、フライフィッシングを続けていれば彼らのように私の目も澄んでくるのだろうかと晴れない心を、ログ・キャビン・パブからの夜道、天空高く昇った満月が柔らかい光を照らして慰めてくれました。
  • トラウトに人生を豊かにすることについて教わる
    翌日は、前回に経験したこの時期ポイントへせせこましく一番入りを狙っても朝の冷え込みが厳しくあまり意味がない教訓を生かして、ゆっくりと朝のコーヒーで目覚めの時間を潤した後でボチボチのんびりと出陣しました。前回あまり人が入らないポイントを攻める戦略でセンセーショナルな思いをすることができたので、今回も Yasu さんの提案に沿ってスペンセス・ブリッジから少し離れたマーテル・アイランドでも藪を掻き分けて入った所でフライを流すことにしました。 表層の流れを見る限り、理想的と言われる人の歩く速度の流れの部分が比較的スウィングの美味しい中心から終わりにかけての部分で取れそうな流れが各所にあり、この時期に良さそうな深さも十分にあるポイントで、スティールが掛かりそうな気配は感じられます。ただ流れと風が左から右、しかも背後は崖が迫っていて、スネーク・ロールやダブル・スペイではバックが取れないような状況なのでキャストに苦労します。四苦八苦した挙句に、ダブル・スペイでスカジット・スタイルのペリー・ポークのように一度ラインを前を落とし、それによってアンカーポイントをずっと前方へ置けるようにすることであまりバックが取れなくても良いようにしてから本キャストするやり方で、何とかキャストの練習にでなく釣りをしに来た感じを楽しめるようになりました。フゥー。 こんな時に携帯のボタンを一押しすると、状況を自動分析し最も効率的なスペイ・キャストのデモをするホログラフの 3 D プロジェクションが現れるようになるとクールなのですが。まぁ、そんな風になるとその分楽しみも減ってしまうのでしょうね。 トンプソン虹鱒 あまり人が入っていない分、やはりフライを流しているとラインを通じて魚が遊びに来てくれているアクションを度々感じます。ただ残念ながらその感じはスティールではなくトラウトのようです。そこへ「スティール」と無線からYasu さんの叫びが漏れます。「OK、そっちに向かいます」と応答した直後「ご免、トラウトだった」と訂正が入りました。トンプソンのトラウトは型が良く 50cm 級は珍しくありません、しかもスティールヘッドの幼魚なので普通のトラウトより奮闘します。それに、マット鈴木氏によればトンプソン・スティールの中にも初めての海洋の旅から帰ってきたものには小型 (20 inc 級) のものもあるようです。スティールならば海洋の旅で鍛えられるので尾を掴んでみればトラウトより太いので見分けがつくとのことです。その後もトラウトは遊びに来てくれるものの、結局スティールらしいスティールとは今回はお目にかかれませんでした。やや強引に釣れ犬様を拝見したのが良くなかったのでしょうか? でも、トラウトだけでも釣れたので、釣れ犬様に感謝感謝(笑)。 ただ、Yasuさんと長ーくなる帰りの道中話したのには、トンプソンだといくら型の良い虹鱒が釣れても「なんだトラウトかと」気落ちしてしまうのですが、幾ら屈強で大物のトンプソン・スティールを狙って頑強なタックルでトンプソンに入っているといっても、それはあまり好くないような気がします。もしトンプソンにトラウトを狙って入って型の良いトラウトが釣れて帰る場合はウキウキ気分で帰れるでしょうし、尚且つ運良く大物のスティールが掛かってしまったとなれば超ハッピーなものとなる訳ですが、大物のスティールを狙って入り、型の良く色も鮮やかな虹鱒が釣れても「なぁーんだ」と言って帰るのでは人生の豊かさが大きく異なってくるような気がします。やはりよく言われることですが、日頃の感謝の心がけが大事ということでしょうか。その点、スペイは個々人的に投げること自体に楽しみを見出せるのが好いですね。大空の下、ラインが気持ち好く伸びてゆく爽快さ、スウィングが思ったように綺麗に流れていくときの魚が掛かるのではないかという期待と興奮が入り混じって早まる心臓の鼓動。最近は魚が掛かろうが掛かるまいが結構それだけで満足できるようになってきました。まぁ、一般に投げることによる釣れない弊害もよく指摘されるので必要の無い所では投げないことも大事ですね。勿論、釣れないよりは釣れた方が面白いので。
  • 一筋縄でいかないトンプソン釣行
    ということで、スティールが釣れなくても楽しく帰ろうと Yasu さん共々互いの傷を舐め合い(笑)ながら帰路に着いたのですが、しばらく入った所でそのような気分は消えうせるものとなりました。思いもかけないほどの勢いで雪が降り始めたのです。この時期初の本格的な豪雪のようです。「何故今日突然にこんなに降る必要があるの?」と幾らぼやいても止む気配はありません。帰りの山道が途中で閉鎖になっていないことを祈りながらゆっくり安全運転で車を転がして行くしかありません。 映画のダイ・ハードのワン・シーンでも見るかのように大型トレーラーがハイウェイの中央分離帯の所で横転している事故を横目に見ながら、結局トンプソンから Yasu さん宅のあるべリングハムまで通常の 2 倍以上も掛かって帰ってきました。そこから自宅のシアトルに帰る頃には深夜の 1 時を回っており、一筋縄でいかないトンプソン釣行を思い知らされましたが、今となっては好い思い出です。(実は次回にトンプソンへ出かけたときはもっと凄い状況になっていました。)
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